Splashtop Business導入事例インタビュー
クラウド上でユーザー権限の管理ができる機能が決め手
同社は近年、クリエイターが働く場所を選択できる「自由な働き方」の実現を目指す一方で、機密情報の保持や出社時と変わらぬ作業効率を担保できるリモート環境の確保などの課題を抱えていました。
今回は、株式会社カラー執行役員 技術管理統括 鈴木慎之介氏に、スプラッシュトップを導入することでどのように課題解決されたのか、その経緯についてお伺いしました。さらにスプラッシュトップの導入背景や活用方法についてもお話をしていただきました。
──スプラッシュトップを導入したきっかけは?
以前より機密性を保持した上で、リモートでの作業環境を整えたいと思っていました。社内で今後の働き方について検討している矢先、新型コロナウイルスの感染拡大によりリモート環境の整備が必要となり、今回の導入決定に至りました。
──スプラッシュトップ導入以前に抱えていた課題はありましたか?
映像作品を制作する環境であるため「自由な働き方が難しい」ということです。弊社では、公開前の作品を取り扱うことから、機密情報を社外へ持ち出すことを禁止しています。そのため、会社へ出社して作業をすることが前提であり、自宅や作業場など場所を選ばず自由に働くということが難しい環境でした。
スプラッシュトップの強みである高速画面転送が魅力
──他社製品と比較して、スプラッシュトップを採用した理由を教えてください。
さまざまな製品を比較検討した中で、一番大きな決め手は、組織でユーザー管理ができるということでした。制作現場では作品によって携わるスタッフが異なります。作品を作る中で一時的にプロジェクトに参加し、作業が終われば作品から離れるケースも多々あります。それぞれのスタッフのリモートワークを許可するには、情報漏洩等のリスク回避のためにも、確実に会社側でスタッフ全員のアカウント管理ができることが重要であり、選定時のポイントでした。
会社に出社して作業をするという今までの働き方なら、アカウントやアクセス権限の管理も社内対応が可能でしたが、リモートワークとなるとそうはいきません。このコロナ禍だと、スタッフの作業場や自宅に出向いて権限を削除することも難しく、とても手間がかかります。したがって、スプラッシュトップのクラウド上で権限の管理ができる機能(アカウントを無効可できる機能)が決め手となりました。
あとは、やはりスプラッシュトップの強みでもある、高速に画面転送ができることです。今まで会社で作業していた動作で、ストレスを感じることなく業務ができることも魅力でした。
──スプラッシュトップ導入後の変化や実際に使用しているスタッフの反応はどうでしたか?
最初の頃は、「操作に慣れない」「ツール導入が難しい」などの声がいくつか聞かれることがありました。しかし、インストールするにしても個別対応にするのではなく、大量配布の機能を用いることで、スタッフのインストールコストを軽減することができました。今では多くのスタッフが操作に慣れ、徐々に浸透していっています。
──現在、スプラッシュトップをどのように使用していますか?
大きく分けて2つの活用方法があります。1つ目は、会社PCに自宅や作業場からログインして通常業務を行うときスプラッシュトップを使用します。2つ目は、情報システム部門がスタッフのオンラインサポートを行うときです。
2つ目の活用方法に関しては、「PCやシステムの操作方法が分からない」などスタッフからの相談があった際に、システム部がスタッフに許可を得た上で当人のアカウントにログインし、同時にチャットでサポートを行っています。全部門へツール導入をしているので、対面でなくとも遠隔操作でリアルタイムに解決することができるようになりました。
──SAML認証の連携を採用した理由を教えてください。
弊社での認証基盤はG Suiteに統一しており、1つのツールを導入する毎に、それぞれアカウント発行することや、アカウントの棚卸をすることが非常にコストだと感じています。同じ認証基盤を使用しているツールは多くありますが、統一化することでシステム運用コストを下げているので、それを実現できるツールであることもスプラッシュトップを選定した理由でもあります。
──VPNとリモートデスクトップの併用を決めた理由はありますか?
弊社システムは、元々リモートワークや社外利用を目的として作られていないので、VPNアカウントを全社員一人ずつに発行して利用するキャパシティがありませんでした。その理由から、リモートワークへの移行にはVPNを経由せず、他の経路からアクセスすることによって基幹インフラのアクセス負荷をかけたくありませんでした。そういった背景から最適のソリューションを考えたとき、スプラッシュトップの利用を決めました。他方、VPNを必要とする状況もあるので、併存する形で利用しています。
──これまでは同じ空間で一つの作品を作り上げることが多かったと思いますが、リモート環境でのやりづらさはないのでしょうか?
あくまで私個人の意見ですが、前提として、弊社のリモートワークの導入は、多様な働き方に応えられるようにしたいという意味であり、全ての作業を完全にリモートワークに移行したいという考えではありません。
この前提があるうえで、クリエイターが「作品に熱を込める」という言葉をよく使われますが、その「熱の込め方」も変わってきているのではないかなと感じています。手段を問わず、リモート環境でも熱を込めることができるのならば、それでいいと思います。良い作品ができるならやり方は関係ありません。
ただ、同じ空間でクリエイター同士が集まり、エネルギーをかけて作る方が熱を込めやすいとも感じます。事実そのように考えるクリエイターも多いと思います。対面でのコミュニケーションや、何気ない雑談から生まれるアイデアもありますからね。したがって、リモートワークは選択肢として提供し、クリエイターが働きやすい方法を選んでもらえばいいと考えています。今後はネットとリアルの併存で作品を作る環境を用意する必要があるのではないでしょうか。
──新型コロナウイルス収束後の働き方について、どのように展開していきたいですか?
今回の導入は、新型コロナウイルス感染防止のため密にならない状況をつくることが、私たちシステム部門への命題でした。現在は新型コロナウイルス感染対策として緊急事態的な導入となっていますが、今後も自由な働き方ができる選択肢の1つとして、スプラッシュトップを活用していきたいと考えています。
──最後に、映像制作会社の視点から、5Gの実用化による映像伝送技術の今後に期待することがあれば教えてください。
映像制作会社は大量のデータを、低レイテンシーで転送する必要があります。そのため、5G技術によって大量に映像が転送できるようになることは、とても魅力だと感じています。それにより、場所を選ばずどこにいても良いものが作れるような環境になることを期待しています。