静岡県を拠点とするヤマハ発動機株式会社 ロボティクス事業部は、表面実装機の開発・販売をするSMT事業と、産業ロボットの開発・販売をするFA事業、無人ヘリを取り扱うUMS事業を柱として、産業用機械の開発・販売を行っている。その中でも、近年加速するIoTに欠かせない電子基板を製造するための設備「表面実装機(SMT:Surface Mount Technology)」を開発するSMT事業が導入した遠隔保守サービスについて、同社の商品開発部 ソフト開発グループ 開発担当 主査 宮本正信様とCS部 SMTグループ 情報サービス担当 主査 増井三晴様に話を伺った。

ヤマハのSMTビジネスの3つの特長

ヤマハのSMTビジネスの3つの特長

Q.ヤマハSMTビジネスの特長について教えてください。

ヤマハのSMTビジネスの3つの特長

宮本さん:弊社のSMTビジネスの特長は、主に3つあります。一つ目は、"ワンストップソリューション"であること。これは表面実装のプロセスを行うほぼ全ての設備を当社ワンブランドで商品化し製造していることを指します。近年、装置と装置の連携機能がとても重要視されていますが、全ての製品及びそのパーツを同じ工場で開発することで、より高度な連携を実現しています。

二つ目と三つ目は「製販技一体」と「高い内製化技術」です。SMT業界では、お客様が生産性向上に非常に注力しているため、様々な工夫がされています。それに伴い、様々なカスタマイズの要求もでてくるのですが、標準機能での対応が難しいレベルの細かいこだわりに関しては、ユーザー毎のカスタマイズという形で随時対応をしています。

その際に、営業部門と技術部門が一体になっていることで、お客様からの要望を実現できるかの検討をスピーディーに行えます。また、製造技術に関しても、内製で対応することで競合他社に比べて対応できる幅が広いところも我々の強みであると考えています。

トラブルの原因特定までの「タイムロス」を減らしたい

Q.スプラッシュトップを導入する以前の課題とは?

トラブルの原因特定までの「タイムロス」を減らしたい

増井さん:弊社では、製品のお問い合わせやトラブル発生時の窓口として、お客様専用のサポートダイヤルをご提供しています。これまでは、電話やEメール、写真などの貼付ファイルを利用して情報を交換しながら装置の設備の状況等を把握し、原因の特定を進めていました。しかし、トラブル発生時には、より短い時間での修理・復旧を強く求められるため、復旧までの時間を短縮することが大きな課題でした。

装置を復旧するにあたり、部品の交換や、サービスエンジニアが訪問して修理作業をすることも多くあります。そのため、問い合わせから復旧までの時間を縮めるという目的の中で、サービスエンジニアの移動時間や作業時間を劇的に短くすることは、現実的にはなかなか難しいことでした。

トラブルの原因特定までの「タイムロス」を減らしたい

そこで、サービスエンジニアを派遣してからの時間ではなく、お客様から連絡を頂いてから原因を特定し、サービスエンジニアを派遣するまでの時間の短縮を目標にすることにしました。

前述したとおり、これまでお客様との情報交換から原因を推定していたところを、遠隔保守サービスを使って、正確に素早く情報を入手する。この流れに変更することで、迅速に原因を推定し、適切な準備をした上で修理にお伺いできるようになるのではないかと考え、スプラッシュトップエンタープライズを採用しました。

素早く正確な情報取得で、負担やストレスも減少へ

Q.サポートに向かう時間が短縮されたことで、お客様の満足度やサービスの質に変化はありましたか?

素早く正確な情報取得で、負担やストレスも減少へ

増井さん:これまでは、操作画面の状況や操作方法を口頭で伝えあっていたため、お互いにじれったく感じることや、ストレスを感じることもあったと思います。しかし、装置に直接アクセスして、エラー履歴や動作ログを取得できるようになったことで、そのストレスを一気に減らすことができました。

以前よりタイムロスなく正確に情報を取得でき、お客様側の装置に次の手を打てるようになったことで、我々の負担も減り、お客様も余計なストレスから解放されるのではないかと思っています。

ユーザーの遠隔トレーニングにも活用していきたい

Q.今後、スプラッシュトップエンタープライズの導入で期待する効果を教えてください。

ユーザーの遠隔トレーニングにも活用していきたい

増井さん:SMTの更なる開発に伴い、SMTから取得できる情報量も徐々に増えてきているため、情報をシミュレートする機能も充実させようとしています。

具体的には、お客様側の装置で起こった履歴ファイルやログファイルを取得し、それをシミュレーターに入れて、マシンの動作をある程度予測します。そして、「このタイミングで、この部分が壊れた」「このタイミングでマシンが停止した」というところまで調査できるツールです。この機能が実装されることで、遠隔で情報を取得し、こちらで情報の解析や原因特定を行い、その対策をした新しいソフトウェアを遠隔保守サービスで提供できます。お互いが、それぞれの持ち場にいながらにして、不具合を解決できる流れを作れるのではないかと期待しています。

また、スプラッシュトップエンタープライズの基本的機能であるリモートデスクトップを活用して、お客様のスキルアップのためのトレーニングも提供できるのではないかと考えています。

お客様側の装置と我々のパソコンで画面を共有でき、マウスポインターも利用できるため、お客様が悩んでいる問題を解決まできちんと誘導し、それを繰り返すことで、お客様のスキルアップにつながるトレーニングも提供できるのではないかと、とても期待しています。

弊社製品を導入して間もないお客様や、保守に慣れていないお客様もいらっしゃると思うので、そのようなお客様を色々なところで支え、画面を共有することで安心感を持っていただけたらと考えております。

海外展開も視野にいれて、世界のIoTを支えていく

Q.ヤマハ発動機が考えるSMTビジネスの今後の展開を教えてください。

海外展開も視野にいれて、世界のIoTを支えていく

宮本さん:弊社製品を導入いただいているお客様は、24時間365日生産を行う企業が非常に多くいらっしゃいます。スプラッシュトップエンタープライズを導入したことで、24時間365日の遠隔保守サービスを行いやすい環境が一つ整ったという風に考えていますので、我々の方も組織や体制を早急に整えて、早い段階でお客様に追従できるようにと考えております。

また、同じく現状課題として、遠隔で装置を動かす際に安全性を確保しなければいけないという問題があります。装置を動かす時に安全なように様々なセンサーを組み込んでいますが、遠隔サポートをする時に、現状はお客様側のリアルな状態が分からない部分が存在するという問題があります。例えば、安全センサーが一時的に無効化されている可能性もあり、その状態で装置を動かしてしまうと事故に繋がってしまう可能性があります。また、大きめのツールを装置の中に置きっぱなしにして、それを忘れたまま運転をかけてしまうと、同じく大きな故障に繋がってしまうというリスクがあります。

現状は電話とリモート操作を併用してお客様に装置のスタートをお客様側からやっていただくという運用で対応していますが、最終的には装置の中にカメラを組み込むなど、我々自身で安全を担保したシステムを構築することを考えております。

さらに、現状まずは国内からのスタートですが、遠くはない将来、海外展開を考えています。中国や欧州、米州なども、IoT への取り込み意欲が非常に高いと考えておりますので、そこも視野にいれながら、サービスを提供していけたらと思います。

海外展開も視野にいれて、世界のIoTを支えていく

増井さん:現状、海外のお客様の場合は、海外の販売店や代理店のサービスメンバーがサポートしますが、それでも解決できない難易度の高い問題は、日本でお受けしています。

しかし、一度海外でヒアリングした後に日本へ情報を伝達するということで、時差の関係や言葉の壁もあり、タイムロスがありました。さらに、伝言ゲームのように情報を伝達する中で、必要な情報が欠けてしまう可能性もあります。

その点でも、遠隔保守サービスをご提供することで、装置から直接データを取得し、「いつ・どこで・何が起こったか」を正確に把握できるようになると期待しています。

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