富士ソフト株式会社
”ゆとりとやりがいのある働き方”を実現できる環境を社員に提供
富士ソフト株式会社様の執行役員 山岡寛典様にSplashtopの道入目的や道入にあたっての障壁などについて伺いました。
富士ソフト株式会社
執行役員 山岡寛典様
最も使い勝手がよく、コストパフォーマンスに優れていた
どのような目的でSplashtopを導入したか?
現代の働き方は、どちらかというと場所や時間、自分のパソコンにしばられて仕事をしています。当社は、そういうものから解放して時間的、空間的に、”ゆとりとやりがいのある働き方”を実現できる環境を社員に提供し、より生産性を高め、生産力を確保することを目的としました。
いろいろな施策を試してみましたがその中でも、アプリで遠隔地から自分のパソコンを自由に使えるものはないかと、シンクライアントから始めて、いろいろなツールを試してきました。Splashtopは最も使い勝手がよく、コストパフォーマンスにも優れていることを評価し、今回、Splashtopを導入しました。
リモートデスクトップという方法がベスト
Splashtop導入にあたっての障壁について
「パソコンを持ち歩く」という昨今、ずいぶん軽量化されてはいますが、それでもまだノートパソコンは持ち歩くには非常に重く、タブレットやスマートデバイス等、どこでも使える機器や環境が必要です。その方法としては、クラウド上にアプリケーション環境を設ける方法や、セキュアな管理ツールによってメールやカレンダーの情報、オフィスデータ等がデバイスに保存されないような仕組みを整備する方法があります。また、シンクライアントのように、仮想サーバに環境を構築し遠隔地からリモートアクセスする方法も有効です。
Windows XPからWindows 7等の最新のパソコンへの買い替えや、プログラム作成などの開発業務や設計業務を行うために高機能なパソコンを使う必要があるなど、いろいろなニーズがあるのではないかという事です。
特に、社内利用限定の社内システムを使う必要がある、会社の自席のパソコンのリソースを使う必要がある、インストールした特殊なアプリケーションを使いたいなどのニーズがあり、自宅などの遠隔地から会社の自席のパソコンに接続する、リモートデスクトップという方法がベストである、と判断しました。
リモートデスクトップの参入障壁、導入時の障壁ですが、誰でも無条件に利用させることできませんので、当然、アカウントの管理が必要です。予め利用するデバイスの安全性を確保し認証することも必要となります。この2点に加え、会社の自席のパソコンは通常、帰宅時に電源をOFFします。当社では電源を入れたまま帰宅してはいけないルールです。会社の自席のパソコンの電源を自動的にONすること、この”Wake on LAN”が課題でした。
“デバイス認証”、”Wake on LAN”と”セキュアな環境”、つまり個人のパソコンまたはスマートデバイス上にデータが保存されないことの3つの要素をすべて実現できるのはSplashtopだけでした。
多様な働き方支援のツールとして
Splashtop導入後の効果について
当社は、ワークスタイル変革のひとつとして多様な働き方支援をあげています。例えば、短縮勤務や在宅勤務等がありますが、特に在宅勤務は今後、ますます推進すべきであると考えています。家庭の事情により1週間9:00~5:30で定時勤務することが難しい場合や、家庭で育児や介護をしながら仕事も続けたい場合などへの支援として、新たな在宅勤務のツールであるシンクライアントとSplashtopの2種類の方法を提供しました。
Splashtopの利用状況について利用者にヒアリングしたところ、会社の業務環境と同じようなペースで、同じように作業できるとのことでした。なおかつ、自宅のパソコンのスペックが少し低くても、会社のパソコンへアクセスしますので、十分活用でき大変満足という評価でした。
キーワードは、”会社の机に縛られない”こと
ワークスタイル変革をどのように進めていったか?
ワークスタイル変革を推進するためには、まずは会社としてきちんとしたビジョンを社員に発信することが必要です。一番大切なのは、実はこのビジョンなのです。働く環境にはいろいろな制約があります。それらの制約を取り払うことによって、もっと”ゆとりとやりがいのある働き方”ができるのではないかと考え、それを実現させることをまず会社のビジョンとして大きく打ち出しました。
そのビジョンを実現するためにはいろいろな施策が必要です。当社では、”サテライトオフィス”、”フルフレックス勤務制度”、”在宅勤務制度”等があり、”社外からのアクセス”も推進しています。もう一つ重要なポイントはやはり”ペーパーレスの推進”です。紙に縛られる文化ですと、どうしても会社でしかできない作業が発生してしまいます。”ぺーパーレスの推進”、そして、”クラウド化の推進”、”コミュニケーションの強化”等の施策を実施します。
また、施策と同時に”会社の制度”、”会社の風土”を整えておくことも大切です。社員が処分を恐れて制度を利用できない状態にならないよう、しっかりと会社の規程を整備しました。就業規則や多様な働き方現代の働き方は、どちらかというと場所や時間、自分のパソコン規程を整備し、特に在宅勤務に関しては、違反行為やモデルケースを示すことで活用を促進させました。
また、当社は”BYOD”も推進しています。この施策でも、個人所有のデバイスを有効に活用する目的でBYOD関連の規程、情報セキュリティや社内システムの規程を整備して、制度面と施策面を整えました。
最終的には、それらを支える手段としてテクノロジーが必要になります。そのテクノロジーとしては、”クラウド”や”シンクライアント”、”仮想デスクトップ”があり、またさまざまな外部アクセスの増加に対応するために、”ネットワークの強化”も必要です。それから、BYODを運用する為の環境作りと、Splashtopのようなリモートコントロールの環境。
進め方は、①手段、②ツール、③システム、④仕組み、を整備する4つのステップです。
このように、ビジョンに基づいて規程や制度を作り仕組みを整備して運用しますが、最終的には運用するだけでなく、それをきちんと評価し、本当に正しく使われているか、有効か、効率的かなど、社員の残業時間の増減や多様な働き方の増減などの状況を必ずフィードバックし評価して、また新たな仕組みや制度、運用改善につなげるPDCAを回していくことが必要です。
キーワードは、”会社の机に縛られない”こと、です。
現在、当社が進めている施策は、会社から固定電話を全部なくして全て携帯やスマーとフォンに切り替える”脱固定電話”、パソコンをなくしてタブレットだけで仕事を行う”脱PC”、もちろん、”ペーパーレス”も引き続き重要な施策です。実はこのワークスタイル変革を進めることによって、コスト削減、BYODの推進、BCP対策やディザスタリカバリの対策までも同時に実現してきました。非常に効果を感じています。
シンクライアントの導入
どうしてBCP対策が必要だったか?
今から3年前、2011年3月の大震災の時には、局所的な停電が起きました。昨今でも、大雪や大型の台風等によって出社するのが難しい状況が発生しています。無理して出社しなければ仕事ができない環境は、非常に危険です。当社は製品・サービスで売上を得るものですから、生産を続ける必要があります。生産をするためにはプログラム開発やテストを実施し、仕様書を作成する等の作業が必要です。
出社が厳しい状況をカバーするために、遠隔地つまり自宅のパソコンやスマートデバイスから業務が継続できるかがポイントの1つになります。そのポイントをクリアするために、当社ではシンクライアントを導入していました。シンクライアントは非常に高価です。せっかく会社の自席にパソコンがあるのですから、それを遠隔地から利用できる安価なツールがあれば、それを利用するのは企業として当然です。
デスクトップの仮想化は必ずしも得策ではない
デスクトップの仮想化について
1年前ほど前、2014年ですが、ちょうどWindows XPのサポート切れで大騒ぎがありました。その時であれば、仮想化を選択することは非常に有効でしょう。実は、仮想化には少し課題があります。仮想化を導入する全てのパソコン環境の統一が必要です。個々のパソコンの中に、個人利用のアプリケーションがインストールされていたり、重たい開発ツールがインストールされていたりすると、仮想化にかかるリソースが、Officeツールやウェブ利用の社内システムを利用する環境のみの一般的な事務用のパソコンと比較して3倍以上のコストがかかります。
開発用のアプリケーションやツールを動かすために必要な能力のCPU、容量の大きなメモリ、磁気ディスクなどは非常に高価です。事務用のパソコンの3倍ぐらいのCPUの能力と記憶容量が必要になってきますので、パソコン3台分以上の費用がかかってしまうのです。
仮想化はたいへん有効な手段ではありますが、100%仮想化に移行することは、必ずしも得策ではありません。
Windowsインターフェイスで作られた共通の業務アプリケーション等は仮想化に移行できます。パソコンの中の独自のアプリケーションやパソコン上のリソースを使いたい場合は、リモートアクセスがベストな選択です。その他の汎用的なアプリケーションであるメールやカレンダーに関しては、クラウドサービスを利用した方がずっと安価で効率的です。
その他、当社ではペーパーレス会議用のスマートドキュメントサービス「moreNOTE」を自社開発し提供しています。また、安心・安全に私的デバイス活用を実現するBYODツール「smartBYOD」を自社開発し、提供しています。さまざまなクラウドサービスやアプリケーションをBYODでセキュアに利用できます。
それでも、全社共通の環境と開発や設計等など個別の環境については、利用する状況にふさわしい環境の切り分けが必要です。