非常勤の教員や学生にも自宅から大学のコンピューターを使えるようにしたかった
東京大学 情報基盤センター 情報メディア教育研究部門 教授 理学博士 柴山悦哉様に"Splashtop Enterprise"の道入目的や学外からの接続先として仮想環境を選定しなかった理由などについて伺いました。
東京大学
教授 理学博士 柴山悦哉様
非常勤の教員や学生にも自宅から大学のコンピューターを使えるようにしたかった
主な導入目的を教えてください
このシステムは大学で授業などに使いたいと思ったのですけれども、学内に1,000台以上のiMacがあって、それを授業に使っています。その授業の準備をする為に、特に学内の非常勤の先生が、事前に使いたいのだけど、でも毎回そのために東大まで来るのは大変面倒だと。そういう方が学外から使えるようなもの。というのがまず第一にありました。
それから、当然最近学生さんも自宅からレポートなどを作る為に大学のコンピューターを使うこともありますので、そういう人たちが使えるようになるといいなと思って導入したものです。
コマンドライン、GUIそれぞれの問題を解決するシステムを探していた
導入にあたって、懸念点・クリアーしておきたかった点
非常勤の人が学外から使うというのは、まあ悪いことではあんまりないと思うのですね。これは業務用のものとかではないので、職員が自宅で仕事をする目的では全然使っていない。少なくとも移動しなくてもある程度のものは作れるという。デスクトップの状態をキャプチャーして、それを資料の中に入れることをしようと思った時に、大学までやってこなくてはいけないだとか、土曜日曜だと一部開いているところがあるのですけれど、かなりの演習室が閉まっているだとか、そういう不便はかなり解消されると思います。
リモートアクセスに関しては、なかなかネットワークの状態によってどれくらいの性能が出るか分からないものなので、実際、家で使ってみないと分からないですけれど、これは政府調達という仕組みでやっていますので、仕様書を作って入札で決めるというタイプのものになっています。そうすると本当にいいものが入るのかという若干不安はあります。それが一つですね。
それから、いろんな要望があるのですけれど、フルHDレートでちゃんと動画を通せと言われてもムリがあるわけで、当然出来ることしか出来ないと。そういうのがどこまで出来るか、というのがありましたね。
以前からいろんなリモートアクセスシステムを使っていたのですけれど、なかなか性能が出にくいというか、あと本当にキャンパスの中でデスクトップのPCを直接使うのに比べて感覚が違うというのがあったので、そういうところで懸念がありました。
我々の大学で、授業をするのに学内に1,000台以上のコンピューターがあるのですけれど、それを使って授業をする時に、非常勤の先生が授業の準備をする為にわざわざ大学までくるのは非常に不便だということで、学外からも使えるようにしたい、というのがまず目的としてありました。ちょっとお断りしないといけないのですけれど、我々リモートアクセスのシステムを入れるということは考えたのですけれど、特定の製品を指名して買ったわけではなくて、入札の結果としてスプラッシュトップが入ったということをお断りしておきます。
今までもリモートアクセスのシステムをいくつか入れてきたのですけれども、コマンドラインのものとかGUIのものとかあったのですけれど、GUIのものだとなかなか性能が出にくいということがありました。それからコマンドラインのものですと当然ながらデスクトップが見られない、と。それらの問題が一気に解決する様なものが入るといいなと思っていたのですけれど、なかなかそううまく行くかなという懸念がありました。
性能に関して言うと、まあそこそこかなとは思うのですけれど、なかなかライセンスの規制が厳しくて上手く使えないというのがあります。まだアンケートなど取っていないのでまだ分からないのですが、ご利用は少し頂いているという状況です。
ライセンスが極めて厳しくて、使いにくいんですよ、ものすごく。ライセンスとして、一台当たりいくらというものだと大学に入れやすいのですけれど、一人当たりいくらというライセンスだと大学のように学生を含めて人数が多いところだと実質的にうまくまわらなくて、今回特殊なライセンスを入れてもらったのですが、それを使ってもやっぱりうまくまわせないという状況ですね。それが一番大きなネックになりますね。
一台いくらというライセンスを出してもらうと使えるようになると思います。現状ではそうなっていないので、まずライセンスを獲得する為の手続きを行ってというのがあって、かつそれをやる為にこちらでもいろいろと仕組みを作ったのですが、それがかなり重たいものになっていて、更にちょっと大学のポリシーの関係もあって海外から使えなくなってしまっていますね。今ね。それはスプラッシュトップの性能の問題ではなくてライセンスの問題で使えなくなっています。
ライセンスの問題でWindowsとOfficeは諦めざるをえなかった
学外からの接続先としてmac miniを選定された理由
大学の中で、1000台以上のiMacを置いています。それからMacOSとWindowsが動いています。ですから、授業で使っている環境そのままを使いたいということで、理想的にはMacのOS XとWindowsをリモートで使えるようにしたかったのだけど、スプラッシュトップと同じ様な問題がMicrosoftのライセンス体系にもあって、CALというクライアントアクセスライセンスがたくさんないと使えないということで、WindowsとOfficeはあきらめました。それ以外については、そういうこという商用ソフトはなかったので、アップルも特に問題なく学外から使える状態になっています。
そういう状況なので、iOSがリモートで使えてもしょうがないので、あくまでOS XとWindowsしか使わない。実際に使えているのはOS Xだということですね。
クラウドベースのデスクトップサービスはあるが、Macはない
学外からの接続先として仮想環境を選定しなかった理由
なぜ仮想環境を使わないかというと、OS Xで仮想環境を使えないことはないのだけど、OS Xサーバーの上にOS Xをいくつか動かすことは出来ますけれど、あんまり効率的ではない。従来から、少なくとも2004年くらいからここではMacをベースにした教育のシステムを動かしています。それで先生方もそれを使った教材をいっぱい準備していて、どうしてもOS Xが使いたいという方が結構います。どうしてもWindows使いたいという人も当然ながらいます。Linuxを使いたいという人もいるのですけれど、大体UNIX系のシステムであればOS Xの上で似た様なことが出来るので、その二つがあればオッケーと思っている人も多いですね。そう一つに集約するのは難しい。
クラウドベースのデスクトップサービスはあるのですが、Macはないです。WindowsとかLinuxはありますね。
OSXを仮想化してクラウド上で動かすというサービスはない
オンプレミスとクラウドについて
戦略的というか今の時代、当然オンプレミスである程度資源を用意しなくてはいけないということは確かなのですけれど、学生などが持っているモバイルデバイス、それから学外でクラウドのリソース、そういったものを全部併せて使っていかないといけない時代になっていることは間違いないですね。
何をどこに割り当てて、どうやってそれを繋げていくか、というところで知恵を絞る時代になっていてある方式にこだわるということはないですね。
かつてシステムが全学の認証基盤のほうでやっているシステムにワークフローの形で入れこんだのですけれど、先ほども言いましたようにワークフローに関しては日本国内限定にしたいという様なこともあって、毎日リセットしないといけないものを国外からアクセス出来ないような状態になってしまっています。それから、リセットする時間帯にもよるのですが、登録してから実際に使えるようになるまで、反映されるまでに時間がかかって、最長1時間という感じでまわしています。使いたくなった時に使えないとか、一週間くらいでリセットするつもりでやっていたのですがあっという間に。試しに使ったりする人いますからね。ちょっと想定した使い方では難しかったです。こういうライセンス体系でちょっと大学で使えないなと思っているのはマイクロソフトとSplashtopだけなので。
学生も使っているみたいですけれども、逆に学生の方が使う気になればゆとりが先生よりもあるので、ライセンスの奪い合いには勝ってしまう可能性がある。数も多いしね。学生が本格的に使い出すととてもじゃないですけれど本当に、台数も増やさないといけなくなってしまいますので。
どこかで仮想化してクラウド上で動かせるといいですけれど、OSXって仮想化してクラウド上で動かすというサービスをやっているところはないです。動かすとするとハードウェアとしてMacを使わないと動かないので、普通のPCサーバーで動けば簡単なのですがそれは出来ない。そうするとデータセンターの中にMacProとかMac miniを並べる様なものも無くはないけれど極めて限られているし、事業が何年間か継続するという保証もないような感じです。
以前はMacもエックスサーブという1Uのサーバーがあったのだけど、やめちゃいましたし、アップルはそういうところはやる気がないじゃないのか?
OS Xをうまく動かせる方法があったら自由度はかなり高くなる
mac miniの設置場所について
この建物内にはあります。仮に外に出すにしてもサーバールームを借りる位しか出しようがなくて、ハードウェアをこちらで用意するということしかないですね。OS Xがもっとうまく動かせる方法があったら自由度はかなり高くなるのですけれど、多少OS Xに足を引っ張られている感はありますね。