Splashtop導入事例インタビュー
クリエイターと管理者の要望をバランスよく叶えるには?最適解が「スプラッシュトップ」だった。
株式会社サンジゲン
全国8拠点で事業を展開している同社は、TVアニメ・劇場アニメ・オリジナルビデオアニメの3DCGアニメーション制作を中心に手掛ける制作会社です。これまでに『BanG Dream!』シリーズをはじめとしたさまざまな作品の制作に携わってきました。
同社は、2020年の新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、全社員一斉にリモート勤務への切り替えが必要となりました。「これまで会社で行っていた作業と同等のレベルで業務を遂行できること」、また、「セキュリティ管理を可視化できること」を主軸として、リモートシステムの導入を10社以上の中から検討していました。
今回は、作業効率の担保とセキュリティ面の保持を、スプラッシュトップを導入することで、どのように改善されたのか、スプラッシュトップを導入した決め手や、今後のリモート技術に期待することについて伺いました。
© BanG Dream! Project
【目次】
全方位からのリクエストをバランスよく叶えるために
リモートツールを検証するも、実用レベルには物足りず…
目的に合ったツールで柔軟な働き方へ
ツールを快適に使用するため、インフラ整備も万全に
VPNとリモートデスクトップのセキュリティ比較について
まずは、システム・開発部 セクションマネージャー 中村 公栄氏にお話を伺いました。
システム・開発部 セクションマネージャー 中村 公栄氏
全方位からのリクエストをバランスよく叶えるために
導入経緯は?
コロナ前からリモートワークシステムの検証は現場のスタッフを交えて行っていましたが、現実的に実用レベルではないと感じていました。スタジオ内からの使用では問題ないのですが、スタジオ外からの使用を考えると実用が難しかったのです。VDI検証も行いましたが、結局使用できるレベルではありませんでした。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、「使えない」で話を終わらせることができなくなってしまいました。スタッフからの要望を聞く中で、早急にインフラを整備する必要があったため、片っ端からリモートソフトを検証し、良いものを選択しようという動きから始まりました。そして、最終的にスプラッシュトップを選択することになりました。
リモートツールに求めていたスペックは?
クリエイター全般の要望は、「操作に対してレイテンシーが低いこと」でした。
個別では、モデラー側からの要望は、「作ったものに対して正しい色が出ていること」でした。
さらにアニメーター側は映像を作るので、「フレームレートがしっかり出ている、かつ映像と音声が一致している」ということでした。また、作品の最終チェック担当者からも同様の要望がありました。
操作ができるだけ少なく、色の正しさやデバイス使用ができるのかなど高い要件があったことから、すべての要件をクリアするツールはないけれど、その中でも最適なツールがスプラッシュトップでした。
© BanG Dream! Project
スプラッシュトップを採用した決め手は?
先ほどはユーザー側からの要望でしたが、情報システム側の要望としては、誰がいつ使用しているのかなど、セキュリティ管理を可視化できるものを探していました。社員数も多いため、どれだけ良い映像を転送できても、ツール自体の管理ができなければ使用できません。また、その逆でも使用はできないので、一番バランスがとれているツールがスプラッシュトップでした。
リモートツールを検証するも、実用レベルには物足りず…
導入前のツール比較について
有償、無償問わず10個以上のツールを検証しました。多くのツールは、LAN内なら上手く操作できますが、インターネット環境になると使えないというツールが多かったので、実務での使用は難しかったです。
導入時に困ったことは?
クライアント側のビジネスアプリをユーザー側が入れ、配布したアカウントでログインし繋げてもらうだけという手順のわかりやすさから、サポートもほとんど必要ありませんでした。サポートに時間がかかると作業が進まないので、導入のしやすさでも大変助かりました。
目的に合ったツールで柔軟な働き方へ
現在の運用状況は?
専属の方には完全にスプラッシュトップを付与し、外部環境から会社のシステムにアクセスして仕事を行っています。
会社と自宅両方で使用する方にもスプラッシュトップを付与しています。
プラスαで、会社に出社できない理由がある方には一時的にスプラッシュトップを付与して作業を行っている場合もあります。
コロナ禍なので、体調不良後の自宅待機中に会社に行くべきではないが、仕事は休めない場合などもあるので、家でも会社でも柔軟に切り替え、業務ができる環境を整えています。
導入後のユーザーの反応/管理者側の反応は?
もちろんすべての作業ができるわけではありませんが、特にアニメーター側で言うと映像と音声が一致しない、コマが出ていないなど、今までできなかったものが作業できる環境になったことが大きいです。
管理者側から見ると、誰がいつ使用しているのか、ユーザーの認証を取りコントロールすることができる、不要なデバイスは切ることができるなど、手軽に管理できるので使いやすいので、制作側、管理側とのバランスが良いツールだと思います。
ツールを快適に使用するため、インフラ整備も万全に
社内のインフラ整備は?
弊社の特徴として全スタジオで同じ作品を使っているので、インフラが重要になります。
全スタジオで同じ作品を作るためには、しっかりとしたインフラ基盤が必要です。
とは言え、もちろんコストとのバランスもあります。
CG系、映像系は様々なマシンの電力を消費するので、ポジティブな理由、ネガティブな理由それぞれありますが、単純に電力が足りないからという話もあります。
結局自社内でサーバールームを作るにしても大電力を敷く必要があるので、大電力を敷くコストと、データセンターを借りるコストはそれほど変わらないため、やはりバランスが重要になります。
データセンターを借りれば、拡張も減らすことも好きにできるので、今後様々な施策ができるのだろうとは考えています。
VPNとリモートデスクトップのセキュリティ比較について
VPNのセキュリティについて教えて下さい。
VPNのセキュリティが高いかというと、諸説があるだろうなと思っています。
VPNを使用するということは、相手方の端末や環境を信用しているということだと思いますが、この場合は必ずしも信用すべきでない場合があると思っています。
相手を信用せずにリモートを許可することを考えると、スプラッシュトップは悪くなく、私たちが信用できないと思えばスプラッシュトップならいつでも管理者側で接続を切ることができます。
また、VPNがゼロトラスト的なのかというと、そうではないと思っています。
境界のファイアウォール制御もしないといけないし、制御をしたところで何を許可するのかをコントロールしないといけない。
色々な課題がある中で諸説あるとは思いますが、(ゼロトラスト的な)リモートアクセスは良い選択だと私たちは思っています。
サンジゲンが目指す「これからの働き方」は?
将来的にデジタルの技術はどんどん進化していくと思います。
その中で、最近のVDIのようなユーザー側がメインマシンをもたないという流行りもあります。とは言え、クリエイティブに扱えるかと言うと現状は扱えてはいません。
その課題があるからこそ、クリエイティブ側はリモートにはなりきれていないという現状があると思います。この課題が今後改善されれば、クリエイティブ側だろうと物理的な場所にとらわれずに働くことができるのだろうと思います。その上で、出社かリモートなのかを選択できる環境を、インフラ側で作っていければと考えています。
リモートでも映像と音のズレがない。
家でも現場の使用感は1番の決め手。