浜松市

浜松市役所

静岡県西部の遠州地方に位置する浜松市は、人口が約78万人の政令指定都市です。同市の行政を担う浜松市役所では、コロナ禍への対応を図るとともに、それまでの紙ベースを中心とした業務の見直しを図ること等を目的に、リモートワークを推進されました。その際に課題として浮上したのが、地方自治体間の連携と情報の高度利用を目的に構築された総合行政ネットワーク(通称LGWAN)への自宅や市庁舎外からのアクセスの難しさでした。基本的にオープンなインターネットとは異なり、セキュリティを重視して構築されたLGWANは閉域ネットワークであり、外部からのアクセスが容易ではなかったのです。そこで採用されたのが、セキュアかつLGWAN接続が可能になるスプラッシュトップのLGWANリモートアクセスでした。導入に当たってどのような検討と判断がなされたのか、浜松市役所デジタル・スマートシティ推進課の松島様と伊藤様にお聞きしました。

課題・背景

  • LGWAN系のシステムのリモートアクセスの難しさと利便性の低さ。
  • 庁内ネットワークやインターネットにフリーアクセスするためのデバイス選定。
  • リモートワークに適したシステムやツール、サービスの不足。

施策・効果

  • LGWANリモートアクセス導入により、市庁舎外での公務の利便性が大幅に向上。
  • Chromebookの追加導入とアプリ利用により、職員がリモートで効率良く作業可能に。
  • モバイルワーク機能の強化とフリーアドレスの座席導入により、柔軟な働き方が可能に。

目次

松島氏

伊藤氏

LGWANリモートアクセス導入で、Chromebook活用によるセキュアな自治体業務のリモートワーク推進を実現

浜松市役所
デジタル・スマートシティ推進部
デジタル・スマートシティ推進課
デジタル・ガバメント推進グループ 副主幹 
松島 未来 氏

Interview video

LGWAN接続の要件を満たしたソリューションとして導入

どのような公務を担当されていますか

私の担当している公務は浜松市役所におけるデジタル化推進全般。令和5年から今年(令和6年)にかけて、行政手続きのオンライン化にメインで取り組みました。現在はリモートワークの実証実験を立ち上げ、働き方改革に関する取り組みに携わっています。

浜松市役所のリモートワーク利用状況

浜松市役所では、コロナ禍の時に、人事課の主導でBCPの観点からリモートワーク用Windows端末の持ち帰りをスタート。一方で、浜松市役所の中でも産業や観光など外部とのやり取りが多い部署においては、庁内では座席のフリーアドレス化を導入していたこともあり、以前から該当部署の職員は1人につき1台、リモートアクセスでの使用を前提としているChromebookを使用していました。そうした状況の中、働き方改革や業務効率化の観点からリモートワークをより推進していくため、ChromebookにLGWANリモートアクセスを導入し、リモートワーク用端末として利用する検証を開始しました。令和5年度は40ライセンスですが、今後追加導入し多くの職員がアプリをインストールして使用していけるようにしたいと考えています。

LGWANリモートアクセス導入前の課題と導入の経緯

座席がフリーアドレスの部署はChromebookを使用したモバイルワークを行っていますが、その中でLGWAN系のシステムも使えたら利便性がかなり向上するのではないかという考えが浮上し、LGWAN-ASP(LGWAN上で行える各種行政事務サービス)かつChromebookで使える製品やサービスを検討しました。しかし、目的に適ったものが見つからず、LGWAN接続に難航していました。そうした時にスプラッシュトップのLGWANリモートアクセスを認知。最適なソリューションであることをトライアルで確認し、導入に至りました。

無料ではなく有料ツールを選択した理由

セキュリティを最優先していた浜松市役所では、ネットワーク形態や端末の状況が標準的な仕様とは異なるものだったので、一般の普及製品が使いづらい環境でした。また、コストが削減できるBYOD(個人保有の端末使用)のメリットを踏まえて、自宅のWindows端末などに公務用のソフトウェアを入れて使用するということも検討しましたが、職員の負担やセキュリティ上のリスクが大きいという声が庁内から届きました。この懸念を十分に払拭できなかったこともあり、導入コストはかかりますが1人につき1台、公式に配るChromebookを活用するのがセキュリティ面でも既存の資産の有効活用という面でも良いのではないかという結論になりました。そこでChromebookで使えるLGWAN-ASPを探しはじめました。

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LGWANリモートアクセス導入を契機に今後は自治体DX推進したい

市庁内でChromebookを使用する理由

産業や観光など外部とのやり取りが多い部署は、インターネットをベースにして仕事をすることが多いにも関わらず、LGWAN系や庁内のネットワークへのフリーアクセスが難しい面があります。他方、庁内の端末からインターネットを使うのは「少し重い」「現実的ではない」という実験結果も入っていました。そこで、2台の端末(LGWAN系Windows端末とインターネット系Chromebook)を使い分ける方が安価で使い勝手が良いのではないかという発想に。Chromebookはセキュリティ面・管理面でもWindows機よりも対応しやすいところが多く、価格も抑えられるので、総合的に2台を持った方が良いという形でChromebookを導入しました。

自治体のリモートワーク導入時に重要なこと

自治体の仕事は、集合オフィスの中で行う紙ベースの業務が特殊に進化して定着しています。ですから業務をそのままChromebookで実現しようとするのは困難です。業務の見直しをセットで行うのが必要になるのです。また、紙ベースの業務はリモートワークには適さないので、まずはペーパーレスを想定し、対面で仕事を行わずに進められるツールも用意しながら置き換えていくことが自宅で仕事を行う上で重要になります。オフィスでの勤務中は業務をデジタル化する上で何がネックになるのか見えにくい面がありますが、1度でも家に仕事を持ち帰ってみることで「この資料共有が難しい」「あのファイルを見なければできない仕事があった」などといった課題が見えてきます。そうした意見を踏まえてリモートワークを導入することにより、今までの働き方が見直されるという事例がかなり上がってきました。
リモートワークを導入しやすい部署から始めたのは、市役所全体で一気に導入するのが難しい面があったからです。市民に応対する窓口を持つ部門は、市庁舎に市民の方が来られるのですぐにはリモートワーク主体にできません。まずは産業や観光のような外部とのやり取りがあって、もともとインターネットベースで仕事が可能な部署から始めるのが適切でした。窓口業務に関しては、申請等を窓口で受けるだけではなくオンラインでも可能にすれば、事後処理や市民へのQA対応なども職場に縛られずに可能になります。その実現に向けて、DX推進の重要性を実感しています。

リモートワークを定着させるためのポイント

自治体においてリモートワークを定着させるには、トップダウンとボトムアップをうまくミックスして推進するのが良いと考えられます。上司がリモートワークを実行しないと部下が着手しにくく、一部の人だけが行っている段階でリモートワークに移行すると庁内で浮いてしまうのではないか、あるいは他の職員に迷惑がかかるのではないかという誤解も生じます。部長も課長も率先してリモートワークに移れば、それを見た部下も「自分たちもやらなければならない」「リモートワークをしても問題はない」という雰囲気が広がります。そこまで至れば、次にリモートワークに前向きな庁内の意見を紹介するような取り組みが有効になります。例えばリモートワークに移って良かったことなどを共有するチャットルームを作ったり、業務改善の効果を集めてそれをマニュアル化したりします。実際に当市役所では「こんな方法を取り入れると効率が上がる」という声が数多く集まりました。みんなの経験を共有していこうという雰囲気作りはリモートワーク推進でも重要だと思います。

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災害援助活動など在宅業務以外にも導入効果が波及

LGWANリモートアクセスの管理者側の使用感

LGWANリモートアクセスは、導入後にほとんど手がかかりませんでした。退職等で辞められた人のユーザーアカウントは、ストップして新しく入庁された人に付けかえるだけなので、アカウント管理は難しくありません。ツール類についても問題はなく、使いやすさを優先したLGWANリモートアクセスは導入に少しだけ時間がかかりましたが、導入後は特に説明しなくても誰もが普通に使えている状態です。メンバーマネジメントも特に難しくはありません。導入前は、リモートワーク中の勤怠状況は目に見えないということもあり、服務管理を行う課長級の人たちがどのように対処すれば良いか当初は戸惑いの声もありました。でもリモートワークを始めた管理職の方々は、コミュニケーションをチャットで自然に取るようになり、部下の業務報告なども、むしろ届きやすくなりました。そうして市庁舎内の執務室では部下が何をやっているのか細かく見えなかったところが逆に把握できることから、リモートワーク導入で評価や管理ができなくなったということはありません。

浜松市役所の今後の働き方の展望

浜松市は市域が広いため、業務を行う上での各所移動に非常に時間がかかる場合があります。そうした場面をリモートワークによって移動時間を削減することで、効率の良い業務が可能になります。市民の窓口を担う職場では完全なリモートワークが難しく、外回りが中心となる業務もオフィスに戻らないと用意できない資料があるという課題がありますが、そうした業務に少しずつリモートで可能になる仕組みを取り入れ、どこでも仕事ができるという状況を創出したいと考えています。
また、被災地の災害支援などでもLGWANリモートアクセスと端末の使用が有効で、アンケートですごく役に立ったという意見をいただいています。災害時に限らず平常時でもどこでも仕事ができるというのは市民サービスの面でもとても心強いものです。そうすることが可能な状況を全市庁舎内で早期に確立したいと思います。

リモートワークを検討する自治体へのメッセージ

まずは踏み出してみることをお勧めします。リモートワークを導入することにより自治体業務の可能性は一気に広がります。越えなければならないハードルはたくさんありますが、製品のトライアル時に検証することで一つ一つ解消できると考えられます。社会の変化に今までの働き方が本当に合っているのかどうかを考えるのは大切です。私はリモートワークを取り入れて職員が繋がって仕事をしていくことの価値を高く感じています。リモートワーク導入を機に、今までと違ったより良い働き方が世の中に広がってほしいと思います。

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LGWANリモートアクセスが実現を加速した浜松市のデジタル・スマートシティ構想と市職員の働き方改善

続いて、浜松市役所デジタル・スマートシティ推進課の伊藤達也氏にお話を伺いました。

浜松市役所
デジタル・スマートシティ推進部
デジタル・スマートシティ推進課
デジタル・スマートシティ推進グループ 主任
伊藤 達也 氏

Interview video

デジタル・スマートシティの推進にLGWANリモートアクセスを活用

担当公務について

私が所属するデジタル・スマートシティ推進グループは、官民連携によるデジタル・スマートシティの推進が主な業務であり、「浜松市デジタル・スマートシティ官民連携プラットフォーム」という組織をベースに、その運営や連絡・調整、年に数回のワークショップ、ウェビナーやセミナーなどの企画・運営を行なっています。また、市民の方が幸福感を感じられるまちづくりを目指し、令和5年度は企業や団体のウェルビーイング(Well-Being)に関する取り組みを顕彰する表彰制度「はままつWill-Beingアワード」を創設しました。アワードの応募取りまとめや表彰式開催といった事務局の業務も行っています。

リモートワークで使用するソフト・システム

WEB会議が多いこともあり、ZOOMを活用しています。手元の作業としてはMicrosoft OfficeのWordやExcelを使用しています。また、庁内コミュニケーションはLGTalkによるチャットで行っています。

LGWANリモートアクセス×Chromebookの使い心地

普段はWindows端末を使用し、支障やストレスなく仕事を行なっています。Chromebookについては、Windows端末との違いを意識することはなく、使い勝手に関しては問題ありません。

リモートワークでの作業内容

リモートワークの際は、書類作成などの一人で集中して行いたい業務をあらかじめ選んでいます。事前に準備しておくことでスムーズにリモートワークに取り組めています。

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事前準備でリモートワーク時の業務効率が飛躍的にアップ

リモートワーク開始時期と課内のサポート

リモートワークを開始したのは昨年(令和5年)末からです。課内でリモートワークを先に始めた同僚たちが、アプリの使用感や準備についてあらかじめ共有してくれていたので、スムーズに取り組むことができました。また、リモートワークを経験した職員がノウハウを共有してくれたのは、課内の推進役が「どんな気づきがあったのか共有してください」と積極的に声掛けをしてくれたおかげです。

リモートワークを導入したメリット

一人で集中して行いたい業務は、職場で行うよりもリモートワーク時の方が捗ります。また、リモートワークを行う際は事前の準備が効果的です。そのためには、業務の優先順位や進捗状況を確認し、リモートワークで行う業務と職場で行う業務を振り分ける作業が必要です。こうした事前の準備があることで、業務全体のスケジュールを意識し、より計画的に業務を行うようになったという副次的な効果もあります。

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LGWANリモートアクセス導入後はワークライフバランスが向上

リモートワークの導入による暮らしの変化

3歳の娘が保育園に通っています。リモートワークの日は、いままでの通勤時間を使って保育園の送迎をしています。また、送迎の他に娘と一緒に朝の支度を頑張っています。娘と関わる時間が増えるとともに、妻の負担も少なくなったと思います。1番変化を感じたのは、保育園に迎えに行った時に以前は来なかったパパが来たことで、娘がすごく喜んでくれて、そこが嬉しく感じました。

リモートワーク導入による働き方の変化

市民の方がウェルビーイング(幸福感)を感じられるまちづくりを目指し業務を行なっていますが、職員自身のウェルビーイングも大切だと思います。リモートワークによって、「ワーク」だけではなくて「ライフ」も充実することになり、結果的に業務に集中でき、市民の幸福感に目を向ける余裕が生じていると思います。

浜松市役所における今後のリモート活用の展望

子供が生まれてこんなに生活が変わるのだなと、人生のライフステージによって暮らしや働き方が大きく変化することを今まさに実感しています。一方で、リモートワークの導入により選択肢が増え、働き方を柔軟に変えられるようになったと思います。内定辞退者が相次ぐなど、人材確保に苦労する自治体のニュースをよく目にします。市役所を就職先として選んでもらうための施策を進める中、柔軟に働ける環境は大きなセールスポイントになるはずです。リモートワークに向けた環境整備をさらに進め、働く場所として選んでもらえる市役所になっていきたいですね。

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