Wake On LANとは? 遠隔から会社PCの電源をオンにする方法や設定手順を解説!

Wake On LANとは? 遠隔から会社PCの電源をオンにする方法や設定手順を解説!

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こんにちは。スプラッシュトップ編集部です。

テレワークの普及により、会社のPCにリモートデスクトップで接続して業務を行う企業も増えてきています。

ただ、リモートデスクトップを利用するには接続先のPCが起動している必要があり、不意に電源がオフとなってしまった場合などは、わざわざ会社に行って起動させなくてはなりません。

こんな時に、遠隔で会社のPCを起動させることができれば非常に便利ですよね。そのための技術として“Wake On LAN (ウェイクオンラン)”があります。

今回は、Wake On LANの概要からWindows10での設定方法、利用時の注意点について解説します。

・Wake On LAN(WoL)とは? ネットワークを通じてPCを起動する技術 Wake On LANの仕組み

・Windows10でWake On LANを使う方法 ネットワークデバイスが対応しているか調べる ネットワークデバイスでWoLを有効化 UEFI(BIOS)でWoLを有効化 Windows10のシャットダウン設定を変更

・Wake On LANを利用する際の注意点 デバイスがWoLに対応していない場合がある WoLを利用するためには同一ネットワーク内であることが条件 遠隔での利用でセキュリティが弱くなる可能性

・物理的にWake On LANを実現する方法もある

・まとめ

Wake On LAN(WoL)とは?

ネットワークを通じてPCを起動する技術

Wake On LANはネットワークを通じてPCを起動するための技術です。頭文字を取って“WoL”と表記されることもあります。

もともとは企業などで大量に導入したPCをリモート管理するために利用されていましたが、最近ではテレワークの普及により、遠隔地からPCを起動させるための手段として注目されています。

Wake On LANの仕組み

Wake On LANは“マジックパケット”と呼ばれるネットワークパケットを対象のPCに送信することで、遠隔地からの起動を実現しています。PC側でマジックパケットを受信したら起動するように設定しておけば、ネットワークとしてつながっている範囲で起動できる仕組みです。

Wake On LANは “ソフトウェアWoL”と“ハードウェアWoL”に大別されます。ソフトウェアWoLは、Windows8以降に実装されたWindowsが制御するウェイクオンランであり、ハードウェアWoLはWindows とは関係なく、ハードウェアの仕組みとして実装されているものです。

大きな違いは、それぞれが復帰させられるPCの稼働状態にあります。“ソフトウェアWoL”の場合は、CPUの停止している休止状態(S4ステート)とスリープ状態(S3ステート)からの復帰が可能です。しかしながら、ソフトウェアWoLではシャットダウン状態からの復帰は出来ません。

一方で、“ハードウェアWoL”は、シャットダウンした状態(S5ステート)から復帰させる事が出来ます。そのため、リモートデスクトップを使用したテレワークでは、このハードウェアWoLの需要が高まっています。

Windows10搭載デバイスにおける両者の違いを簡単に表にまとめました。

ソフトウェアWoL ハードウェアWoL
スリープ(S3)からの復帰 ×
休止状態(S4)からの復帰 ×
ハイブリッドシャットダウン(S4)からの復帰 × ×
クラシックシャットダウン(S5)からの復帰 ×

Windows8以降、高速起動を実現するためにデフォルトではシャットダウンはハイブリッドシャットダウンとなっています。ハイブリッドシャットダウンは従来のシャットダウンと休止状態を合わせたものです。この場合、ソフトウェアWoLもハードウェアWoLも機能しなくなるため、Wake On LANを利用する際には無効にしなければいけません。

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Windows10でWake On LANを使う方法

Windows10でWake On LAN(ハードウェアWoL)を利用する際の具体的な設定方法を解説します。

Wake On LANを利用する際には、VPNルーターなどの設定も必要となりますが、VPNルーターの設定方法はお使いの機器によって異なるため、ここでは割愛します。

ネットワークデバイスが対応しているか調べる

はじめにネットワークデバイスがWoLに対応しているかどうかを調べましょう。そもそも、ネットワークデバイスがWoLに対応していないと利用できません。

  1. コマンドプロンプトを開く

  2. “powercfg.exe /devicequery wake_programmable”を実行
  3. 表示された結果にネットワークデバイスが表示されていることを確認
  4. ネットワークデバイスはお使いのPCによって異なりますが、“LAN”や“GbE”などと表示されているものがネットワークデバイスです。ネットワークデバイスが表示されない場合にはWoLに対応していないと判断します。

ネットワークデバイスでWoLを有効化

ネットワークデバイスがWoLに対応している場合、次の手順でWoLを有効化します。

  1. コントロールパネルからデバイスマネージャーを起動
  2. 対象のネットワークデバイスのプロパティを開く
  3. 電源の管理タブで“このデバイスで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする”にチェックを入れる
  4. 詳細設定タブでWake On LANに関わる設定が有効化されていることを確認
  5. 注意点として、お使いのPCによってネットワークデバイス名は異なること、ネットワークデバイスごとにWake On LANに関わる設定名が異なることを覚えておいてください。

    Wake On LANに関わる設定に関しては、Wake On LANやWoLと表記があるプロパティをすべて確認し、有効化されていることを確認しましょう。

UEFI(BIOS)でWoLを有効化

UEFI(BIOS)側でもWoLを有効化する必要があります。こちらは大まかな手順は同じですが、詳細な設定項目や画面構成はお使いのPCによって変わりますので、設定値や画像の内容は参考程度にご確認ください。

  1. PCをシャットダウンする
  2. 電源ボタンを押してから“F2”または“Del”キーを押し続ける
  3. UEFI(BIOS)画面が表示される
  4. 設定項目からWoLに関連する設定項目を探し、有効化する
  5. 画像の例では“オンボードLANからブート”がWoLに該当する設定項目です。その他にも“Power On by LAN”などの設定名として存在している場合があります。

Windows10のシャットダウン設定を変更

Wake On LANの有効化が終わったら、Windows10のシャットダウン設定を変更します。前述したようにWindows10ではデフォルトのシャットダウン設定がハイブリッドシャットダウンとなっています。

Wake On LANを利用するためにはクラシックシャットダウンを利用する必要があるため、次の手順でシャットダウン設定を変更してください。

  1. コントロールパネルを開き、電源オプションを選択
  2. “電源ボタンの動作を選択する”をクリック
  3. “現在利用可能ではない設定を変更します”のリンクをクリック
  4. シャットダウン設定から“高速スタートアップを有効にする”のチェックを外し、変更の保存ボタンをクリック
  5. ここまで完了したらWake On LAN を利用する準備は完了です。マジックパケットを送付するアプリなどを利用し、対象のPCを遠隔地から起動できます。

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Wake On LANを利用する際の注意点

Wake On LANを利用する際にはいくつか注意しなければならない点があります。Wake On LANの設定を行なう前に、注意点を確認しておきましょう。

デバイスがWoLに対応していない場合がある

多くのPCがWake On LANに対応していますが、すべてのデバイスが対応しているとは限りません。

ハードウェアWoLを利用するためには、ネットワークデバイスやUEFI(BIOS)側での許可設定が必要となり、これらがWake On LANに対応している必要があるのです。

また、ソフトウェアWoLは、Windows8以降から実装されたものであり、Windows8以降が搭載されたデバイスであればないと対応していません。

WoLを利用するためには同一ネットワーク内であることが条件

Wake On LANはあくまでもLAN(ローカルエリアネットワーク)を対象としたものであり、社外から利用するためには、前述の手順にさらにひと手間必要となります。具体的には、遠隔地からでも同一ネットワーク(LAN内)にアクセスできるようにしなければなりません。

例えば、会社にあるPCと社外のPCがVPNでつながっている場合は、VPNを通じてマジックパケットを送信することでWake On LANが実現できます。VPNルーターやファイアウォールなどの設定によってはマジックパケットを許可していない可能性もあるため、これらの機器の設定変更が必要になる場合もあります。

遠隔での利用でセキュリティが弱くなる可能性

上記のように遠隔でのWake On LANを実現するためにVPNルーターの設定変更をした際に、設定を誤りセキュリティが弱くなる可能性もあります。加えて、Wake On LANの機能を悪用したランサムウェアの存在もあり、利用する際にはセキュリティにも注意が必要です。

“Ryuk”と呼ばれるランサムウェアは、マジックパケットを送信して起動を試み、起動に成功した場合にそのデバイスのドライブを暗号化して金銭を要求します。

以上のようなセキュリティリスクも鑑みたうえで、Wake On LAN の利用を検討してみてください。

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物理的にWake On LANを実現する方法もある

ここまでWake On LANを活用した遠隔でのPCの起動方法を解説してきましたが、最後にWake On LANを利用せずに実現する方法もお伝えします。

スマート家電の一種である“SwitchBot(スイッチボット)”を活用する方法です。
SwitchBotは家電スイッチやボタンを物理的に押してくれる指ロボットのようなものです。スマートフォンのアプリを使用し、簡単に動かすことが出来ます。

また、SwitchBotハブミニなどと連携させて、SwitchBotを社外から操作し、会社のPCの電源を入れることや、長押しで強制的にシャットダウンすることも可能です。

こちらを活用すればWake On LANを利用せずに、物理的に遠隔でPCの電源オンを実現できます。もちろんSwitchBotを利用する場合は、ルーターなどの設定変更は不要です。

具体的な利用方法に関しては、こちらの動画で解説していますのでぜひ御覧ください。

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まとめ

Wake On LANはネットワークを通じてPCを起動するための技術です。昔から同一ネットワーク内の複数機器を操作するために用いられてきましたが、最近ではテレワークの普及によって再び注目されています。

Wake On LANにはハードウェアWoLとソフトウェアWoLが存在しますが、シャットダウン状態から復帰できるものはハードウェアWoLだけです。ハードウェアWoLを利用するためには事前にPCの設定変更などが必要になりますが、今回解説した手順を参考に進めてみてください。

また、Wake On LANを利用せずに遠隔でのPC電源オンを実現できる“SwitchBot”も大いに活用できるでしょう。テレワーク時の会社PCの起動手段に迷われている方は、これらの方法を検討してみてはいかがでしょうか。

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