よしもとアドミニストレーション株式会社
よしもとアドミニストレーション株式会社は、吉本興業ホールディングス株式会社の管理業務全般を担う企業です。情報システム部では、24時間365日稼働するヘルプデスクやPCサポート、ネットワーク整備など、吉本興業グループ全体のIT基盤を担っています。同社では、ゼロトラスト環境への移行により、従来のリモートツールが使えなくなるという課題が浮上。土日も稼働する劇場部門や、全国に展開する「住みます社員」への安定した遠隔対応を実現する手段として、Splashtopを採用しました。 今回は、情報システム部 部長の土屋 篤氏に、導入の決め手や効果、今後の活用について詳しく伺いました。
課題・背景
- ゼロトラスト移行で従来のリモートツールが利用不可に
- 劇場や「住みます社員」への安定した遠隔対応が必要
- インストール制限や権限管理など運用上の制約も課題
施策・効果
- 仮想IP環境でも安定した接続を実現
- 接続までの時間を大幅短縮し対応品質が向上
- SSO対応でセキュリティと利便性を両立
目次
ゼロトラスト移行で、従来のリモートツールが機能しなくなった
情報システム部 部長 土屋 篤氏
── Splashtop導入前に抱えていた課題について教えてください。
コロナ禍で在宅勤務が広がる中、従来のファイアウォール中心の境界型セキュリティでは限界があると感じ、抜本的に見直すタイミングとなりました。これを機に、社内のセキュリティを全面的にゼロトラストに切り替える判断をしました。しかし、その影響で、今まで使えていたツールが一部使えなくなったのです。
以前はフリーのVNCを遠隔操作ツールとして使用していましたが、ゼロトラスト型のセキュリティ構成に移行したことで、一部の条件下では接続できなくなってしまい、ユーザー支援に支障が出ることもありました。
仮想IP環境でも確実に接続できた唯一の選択肢
── Splashtopを選んだ決め手は何でしたか?
一番は“安定性”ですね。複数のツールを比較検討した中で、Splashtopだけが仮想IP環境でも問題なく接続できました。Splashtopはサーバーを経由して接続する仕組みのため、ゼロトラスト環境との親和性が高く、安定して使えることが分かりました。他のツールでは接続できない条件でも問題なく入り込めたのは大きな決め手でした。また、Splashtopは管理者権限が必要な作業にも対応可能で、ソフトウェアのインストール制限がある環境で安心して使えた点も評価したポイントです。
ただ、遠隔操作全般に言えることとして、簡易さとリスクは背中合わせなので、使いやすければそれだけ乗っ取られやすいのではないかという懸念がりました。Splashtopは SSO(シングルサインオン)にも対応をしていることから、ログイン制御によるリスク回避にも対応できました。そもそも環境に入る際に、不正アクセスができない環境を提供することができることから安全であると判断し、導入しました。
接続時間が1分から15秒に。サポート対応が飛躍的に効率化
──導入後、どのような変化がありましたか?
サポート対象の端末への接続時間が大幅に短縮されました。当社が運営するヘルプデスクチームは常駐チームとニアショアのコールセンターチームに分かれており、一次受付としてコールセンターチームが幅広く問い合わせを受け止めます。つまり、当社におけるコールセンターチームは「広く浅く」をモットーに、「5分以内の対応」を目標として対応を行います。それに対して、常駐チームは物理的に対応をしなければならない故障端末の交換などのほかにコールセンターチームが受け止められない案件を「広く深く」をモットーとして対応時間に制限を設けずに、徹底的にユーザサポートをするというような体制を敷いております。
これまでは、IPやホスト名の確認のやりとりに1分程度かかっていたのが、Splashtopでは IPアドレスやホスト名を聞かずとも、対象端末名を選ぶだけで即接続できます。ユーザーの負担も少なく、現場にもすぐ馴染みました。接続までにかかっていた1分が15秒程度に短縮され、コールセンターで1日に対応できる件数も増えましたし、全体的な対応品質も上がったと感じています。特に劇場業務が活発になる土日や、全47都道府県にいる「住みます社員」のような分散環境にも、柔軟に対応できています。
ショート勉強会やAIツール支援など、“攻め”のサポートへ
──今後、Splashtopをどのように活用していきたいですか?
これまでは環境を守る“守り”のサポートが中心でしたが、Splashtopを活用することで“攻め”のサポートも可能になるのではと感じています。たとえば、AIツールの使い方が分からないという相談に対し、Splashtopで画面を共有しながら「ここをこう操作してください。」と説明できれば、1on1の“ショート勉強会”のような支援もできます。ちょっとした“ショート勉強会”ができれば、ユーザーの理解も深まり、IT利活用の幅が広がりますよね。そうした“学びを提供するサポート”にも活用していけたら面白いなと思っています。
よしもとアドミニストレーション株式会社様‗事例インタビュー